☆1000HIT記念リクエストレポ☆
「ボクは岬太郎」
(短編集『ボクは岬太郎』より)

南葛SCが全国少年サッカー大会で優勝し、岬太郎が南葛を離れて1ヶ月。画家である父・一郎がなんと東京で個展を開いている!え、個展開けるほどの人だったの!?しかも結構人が入ってる!いきなり衝撃的な話で始まるな〜(笑)。

そんな岬一郎の所に、個展を開いたオーナーと思われる人と絵を買う金持ち爺さんが現れる。爺さんは、一郎の絵をすばらしいと褒めちぎる。へ、へえ。そうなんだ〜(笑)。山を中心とした風景画ばかりだが、富士山の絵がない。一郎の中で、富士山は世界一の山。挑んでみたものの、納得のいく絵を描く自信がまだ持てないとのこと。…。あれ?なんかフツーに描き終わってなかったっけ?(爆)

ここで前から言われていた、フランスで絵の勉強をする話に。個展のオーナーが喜んで軍資金を出すと言ってくれている。すげー!どんな関係だこれ?どんな才能もってんだ、一郎?(笑)。しかし、息子・太郎のことが気がかりでやんわり断る一郎。

オーナーも息子がサッカー全国大会で優勝したことを知っていた。ここの世界って、小学生サッカーに詳しすぎるよな〜という疑問はさて置き(笑)。オーナーはフランス滞在中、息子をあずけないかと提案。そのことについて一郎に会いたいという人物がいるという。その人物が「あなたご無沙汰してます」と言いながら登場すると、一郎はその人物を「由美子」と呼んだ。

一方、岬太郎は新天地でも快調にサッカーをしていた。全国優勝経験者なだけあって、皆の人気者です。どこに行っても友達ができて、朗らかにサッカーをやっております。ケガも治ってまた新しい友達ができたよと、心の中で語りかけるのはなぜか翼。まあ、今までの中で一番何も考えずサッカーをすることができた友達なんでしょう。日向と違って(笑)。

練習が始まってから結構な時間が経った時、一人の少年が登場。英会話の塾に行っていたから遅れた彼は、ミツルという名である。ところが、チームのリーダーらしき子がミツルにもう来なくていいと言い放つ。ミツルの母は教育ママゴンで、彼は塾や模試で練習はあまり来ていないらしい。人数が足りないから今まで入れていたが、岬が入ったのでもう用なしということだ。プロの世界並に厳しいこどもの世界である(笑)。

ミツルはサッカーをやりたがっていたが、そうこうしているうちに彼の母登場。岬にサッカー教わるんだと言っても、家庭教師の先生が待っているからとか、サッカーしてても将来何の役にもたたないとか言ってミツルを連れて行ってしまう。周りは練習再開と盛り上がるが、岬は何か言いたそうなミツルの後ろ姿を見ていた。

日が暮れて、一人の少年の母親がご飯の支度ができたと呼びかけてきたところで練習終了。小学生は夢中になると時間が経つのを忘れます(笑)。母親と帰っていくチームメイトを眺める岬。そんな岬に気づいたチームのリーダー、和男は自分の家(食堂、懐かしい響きだ)に来いよと言ってあげます。前にも岬を家に連れて行ったことがあるようです。

和男の家で岬はかつ丼をごちそうになる。サッカーが上手く、成績もいい岬をネタにして両親は和男をからかいます。そんな家族のやりとりを見ながら岬は、「ボクのかあさんはどんな人なんだろう」と思っていた。

岬がボールを蹴りながら帰宅すると、アパートの窓から明かりが漏れていた。父が東京から戻っており、やきとり(と思われる)を肴にウィスキー(ロック)で晩酌をしていた。互いに今日の出来事を軽く報告しあい、岬は宿題をやり始めた。そんなおりこうさんな息子の背を見ながら、一郎は個展に母親が訪ねてきたことを切りだした。

ちょうど母親のことを考えていた時に、そんな話。赤ん坊の自分を抱いた母親と父親が写っている写真でしか見たことがなく、一度も母親と会ったことがない岬太郎。5年前に再婚したことは知っていたものの、一郎も離婚後は一度も会っていなかった。

なんで急にかあさんが…、と戸惑う岬。テレビで息子を見たらしく、できれば引き取りたいと言ってきたと父は告げた。もちろん岬は驚く。一度も会ったことがないのにおかしいよ、と父に訴える。それでもお前の母親だと答える父に、じゃあなぜ?とさらに問い詰める。離婚後、一度も自分に会いにきてくれなかったのになぜ?と。

黙ってしまった父は、別れた時のことを思い出していた。息子は自分が引き取ることを妻・由美子に告げ、「おまえはまだ若い。これからまた自分の人生をやりなおせ」と加えます。ってことは、一郎は結構年がいっているのか。この時の父は、画家としてはまだまだ売れていないようです。二度と会うのはよそうと言ったのは、父の方だったのだ。

息子の言葉にはっとする。それでとうさんはなんて答えたの?と尋ねる。ここで初めて、前々からあったフランス行きの話をカミングアウト。日本各地を連れ回っている息子をこれ以上は、と断っていたことも告げる。ボクをかあさんに預けてフランスへ行くの!?と問い詰める岬。

あらたまって息子に話し掛ける父・一郎。息子に、お前にはサッカーの才能があると切り出す。その才能をもっと伸ばす為には、1つの土地に腰を据えてサッカーをする必要があること。南葛で翼たちとサッカーをやらせてあげたかったが、仕事の為に今いる所まで連れてきてしまったことをぽつりぽつりと話し出す。11年間ずっと土地を転々とし、母親もおらず、仲良くなった友達といつも別れなければならず、いつもさびしい思いばかりさせてきたと息子に言う父。自分は一緒にいても何もしてやれない、と涙を流しながら話す父に岬は驚き言葉を失った。

土曜日。サッカーの試合の後に、夜行で母親が住む横浜へ向かうことになった。岬親子は一体どこに住んでいるんだ?日本で見られる息子の試合は、これが見納めになるかもしれないと父は思っていた。試合開始前、ミツルが姿を現す。一応サッカー部の一員だからと、塾を休んできた。そんなミツルに他の部員は、「一員だってよ」「そういうことはちゃんと毎日練習にでてきてからいうもんだぜ」と手厳しい。ホントに厳しいな!(笑)もう11人いるから、塾に行った方がいいんじゃないかと言われるが、ベンチで応援してるよと笑顔で答える。そんなミツルに一同は驚く。

試合開始。予想通り、岬がいるから西峰小(岬が今いる学校)は3−0で前半終了。ミツルは岬みたいにうまくなりたいと憧れの眼差しである。ハーフタイム、岬は後半ミツルを試合に出そうと提案。あわてるメンバー。久々に勝てそうな試合なので、皆抜けるのを嫌がっています。「じゃあ、僕が抜けるから」と岬。男らしい!でも彼が抜ければ明らかに逆転負けですよ、あわてて和男が止めます(笑)。

岬がそこまで言うのならと、足を少し痛めた子が抜けてミツルが後半出られることに。ところがママが登場。塾に連れて行かれそうになるが、手を振り払い夜遅くまで勉強するからとミツルはピッチに向かう。さらに追いかけようとするミツルママですが、岬の父に止められる。ボールトラップもままならないミツルを見て、運動に向いていないから勉強をやらせているんだと一郎に言うミツルのママ。彼女は、才能あるものを伸ばすよう導くのが親の役目だと主張する。しかし一郎は、自分がやりたいと思うことを素直にやらせてやるのも親の役目だと静かに言う。ミツルは今生き生きしていると教えてあげる。

サッカーしたい気持ちをお母さんにみせてやれば、きっとわかってくれるよ、と岬はミツルを励ます。敵のパスをカットするというナイスプレイをするものの、ミスキックをするミツル。だが岬は(余裕があるらしく)あさっての方に飛んだボールを受け取った。ミツルを始め、皆がゴールに向かって走り出す。岬はなんとしてもゴール前のミツルにあわせようとし、センタリングをあげる。とびこめ、ボールは友達だと励まされたミツルは、メガネをふっとばしながらもゴールを決める。まさかのファインプレイに他の部員も喜び、ミツルママも笑顔がほころぶ。

夜行列車の中。昼間の試合を思い返し、眠っている息子は自分にはできすぎた子だと感心する。会いたかったのだろうが、何年前からか気を使って母親のことを聞かなくなった。そんな思いやりがあり優しい息子に、これからは幸せになれるぞと心の中で話し掛ける一郎。彼は別れる覚悟が決まっていた。

横浜に着き、まだ暑い日差しの中を岬親子は、会話らしい会話もせず坂道をのぼっていく。母親が住む家の前に辿り着き、目の前には「山岡」の表札。今の旦那との間に美子(よしこ)という娘がいると父に聞かされる。岬の胸の鼓動が速くなってきた。その時、美子ちゃん、あんまり遠くへ行っちゃダメよ、という声が聞こえる。

ハッとなり、声のする方を見る。そこには岬の母親の姿があった。娘に向ける笑顔は優しそうである。岬の周りだけ時間が止まったようになり、「ボクの想像してたとおりの人だ」と。翼の母が、小奇麗なメイクと衣装を着て目元が岬と同じという姿だが。まあ、そこは陽一師匠(爆)じっと母親を見つめる息子に中へ入るよう促すが、その息子は父の袖を掴んだ。

「もういい、いこう」と、母親に会わず帰ろうと言い出す岬。涙を浮かべながらの笑顔で、ボクもフランスへ行くよと言う。「だってボクは岬太郎だもん。山岡太郎じゃない。ボクは岬太郎だもん」と、のの的心に残る名言を言った。そんな息子を見ながら、ミツルママとの会話を思い出す一郎。才能を伸ばすなら1つの場所にずっと暮らしていく必要があると思っていたが、目の前の息子は一緒に行くと言い切った。

「ワシといくか、太郎」「うん」と、岬親子は涙を流しながら短い会話を交わす。目の前の山岡家には行かず、その場を去っていく。そして、岬親子はフランスへ渡った。こうして岬太郎は、「サッカーの才能を伸ばす為には、定住できない体質」へ着々と成長していくのである(爆)。

(終わり)

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